ライオン型の獣戦士であり、『林檎の森』を守るヒーローであるモエルタテガミことレグルスと共にパトロールをしていたレオニスは、見慣れない人影に気がついた。何かを探しているようだ。白馬型の獣人種らしき男。赤いパンツきりの姿一枚なので、レグルスと同じく『獣王の庭』の獣戦士だろうとレオニスは判断した。 「ねえ、レグルス。あの人、ここの住人じゃないけど困ってるみたいだよ」 「あれか。獣戦士のようだな。話を聞いてみよう。おーい」  レグルスが声を掛けながら近付いていく。レオニスは後を追いかけながら、改めてその獣戦士を観察する。白馬型の獣戦士で、レグルスに比べると細身の体型に見えるが、レグルスはかなり横幅も厚みもかなりある体型なので、目の前の彼が細いわけではない。一般的な体型から比べるとかなり筋肉質で、彫刻のように整った魅力的な身体だとレオニスは思った。 「そこのお前、この辺りの住人じゃあ……あれ?」 「ん? そこにいるのはモエルタテガミか。ここで活動していたんだね」 「おお、お前は確か……ダイチハアオク、だったな。久しぶりだ」  獣戦士の二人は顔見知りのようで、警戒心を解いて近付き、握手をする。白馬型の獣戦士……ダイチハアオクは顔を少しほころばせる。目の前で見ると、この獣戦士はかなり整った顔をしているのだと気付く。さらさらのタテガミに挿したバラの花が妙に似合っている。 「知り合いだったんだ?」 「ああ。彼はダイチハアオクという名の獣戦士だ。戦って引き分けた後、サポーターを交換した事があるぞ。丁度今彼が穿いているものがそれだ。俺もその時に受け取ったサポーターはちゃんと持っているぞ。ほら」  サポーターは獣戦士が身につける特殊な下着で、それを穿いていないと獣戦士は充分な力が発揮できないらしい。レグルスが手元に転送したのは、緑色のTバック型。それを穿いて戦っているところをレオニスも見たことがあった。  そして、ダイチハアオクが穿いているのは赤いビキニ型……なのだが、レグルスの穿いている黒いビキニと比べると、サイドが斜め上に引き上げられて全体がV字型のような印象だった。かなり角度はきわどく、油断すると中身がこぼれ出てしまいそうだとレオニスは余計な想像をする。そして、それをレグルスが穿いている様子ももちろん想像した。 「ところで、ここで何をしていたんだ? 何か困ったことがあるのなら、悪事でなければ協力するぞ。まあ、お前が悪いことなどするわけはないだろうが」 「そうだな。ここは君に協力してもらった方が良さそうだ。ああ、もちろん、悪事に手を染めるつもりはないから安心してくれ。モエルタテガミ」 「俺はここでレグルスという名前を貰って活動している。できればそちらで呼んでもらえると嬉しい」  獣戦士の名前は独特の響きを持っていて呼びづらいので、他のブックで活動するときは大抵、現地住民から新しい名前を貰うという。そして、それをとても大事にするらしい。レグルスという名前はレオニスが付けたものだが、それに愛着を持ってくれているのはレオニスとしても嬉しいことだった。 「ああ、そうだったか。では……レグルス。私も、別の場所で貰ったアルマクという名前で呼んでもらおうかな。そちらの彼も、その方が呼びやすいだろうしね」 「お前にも紹介しておこう。彼はレオニス。俺のここでのヒーローとしての活動をサポートしてくれる……俺の、とても大事な人だ」 「おお、そうか。では、よろしく。レオニス」 「うん。よろしくね、アルマク」  アルマクが手を差し出したので、レオニスはそれを握って握手をする。同じ獣戦士でも、アルマクの手はレグルスのものより繊細そうに感じた。重い武器を握ったり、拳で戦ったりはしないのかもしれないとレオニスは思った。 「それで……アルマクは、何をしてたの? 何かを探してるみたいだったけど……」 「ああ、私は……人を探していてね。三人組なんだが……」  三人組と言われて、レオニスはトゥバーンの部下の三人組を頭に思い浮かべる。特殊な力でレグルスのサポーターを盗んだりして、なかなか厄介な三人だったのだが…… 「小さな翼の生えた龍人のような種で、褌のようなものだけを身につけていて、肌の色と角の形は三人とも違っていたね」  その特徴は彼等三人組と一致する。彼等であればこのブックにも出没する可能性は高い。 「……ねえ、もしかして……サポーター盗まれたりした?」 「そうなんだ。彼等はそれぞれ特殊能力を持っているようで、協力して下着を奪うことを得意としているようでね。その時穿いていたサポーターを奪われてしまったんだ。目撃証言などを元にあちこちのブックを回っているんだが……」 「うん、たぶん、それ、知ってる人達だと思う。ね、レグルス」 「ああ、恐らく……あの三人組だな。トゥバーンに連絡できるか?」  かつては林檎の森にとっての敵だったが、今では敵対する理由もなくなりレオニスの友人となった龍人のトゥバーン。あの三人組はトゥバーンの部下だったはずだが、ある程度好き勝手に動いているようでもあったことをレオニスは思い出した。 「呼びかけることはできるけど……確実に三人組の居場所が分かるかどうかは……それより、もっといい方法があるかも」  パトロールを終えたレグルスが、サポーターを脱いでハンモックに寝転がっている。近くに小さな物干し台を置いて、そこにサポーターをいくつか干してある。それを物陰から見ているのは、レオニスとアルマクだった。 「これだけで……本当におびき寄せられるのかい?」 「うん、たぶん……」  アルマクは懐疑的だったが、レオニスには確信があった。あの三人組は、罠だと分かっていても餌が魅力的すぎてあっさり引っかかってしまうタイプだと。  待っているうちに、レグルスが寝息を立て始める。寝たふりをしているうちに本当に寝てしまったようだ。それを見ながら、レオニスは今日はレグルスと一緒に寝ようと思った。  やがて、何者かがハンモックに近付いていく。ゆっくりと、レグルスを起こさないように歩み寄り、寝ながらチンポを勃ち上がらせているレグルスをじっくり観察し、干してあるサポーターをちらちらと見て、どちらに手を伸ばすか迷っている。小さな翼を持つ龍人。ローブのようなものを纏っているがその肌の色は白くて…… 「トゥバーン、ちょっと……」  慌ててレオニスが駆け寄り、白い龍人、トゥバーンに物陰へと隠れるよう促す。だが目の前の魅力的なものを見て、トゥバーンが離れたがるわけがない。 「む、レオニス。何故私の邪魔をするっ。こんなに無防備なレグルスたんを目の前にして、理性を保てる者がいるだろうかっ。いや、いないっ! というわけでここを離れる気は……」 「協力してくれたらレグルスも喜んで頭なでなでとかしてくれるかも」 「なんとっ。それを早く言えっ! では急いで隠れようっ。目的は分からぬがっ」  どうにか説得してトゥバーンをレグルスから引き離す。物陰に一緒に隠れ、三人でレグルスを観察する。 「それで、これはどういった状況なのかっ?」 「実は……この人、アルマクがサポーターを盗まれちゃったみたいで。話を聞く限り、トゥバーンの部下のあの三人だろうなって」 「むむ、あいつらめ。またそんなことを……ところでアルマクとやらっ。見たところなかなかのいやらしボディっ。三人を捕まえるのは手伝ってやろう。その代わりに後ほどその逞しい太腿で私の顔を挟むのだっ」 「はあ。それは構いませんが……」 「おおっ、では気が変わらないうちにおびき寄せようっ。さあ、レグルスたんのいやらしい匂いよ、拡散するのだっ!」  トゥバーンが手にしている杖を地面に突き立てると、杖の先の宝珠が輝いた。そして……特に変化はない。 「わずかな変化だから、ここの一般誌民には分からないだろうが、あの三人なら敏感にかぎつけてくるはずだっ」 「へえ。じゃあ待ってればすぐに……あっ」  何者かがレグルスに近付いてくる。三方向から追い込むようにゆっくりと。レオニス達のすぐ近くを通った者もいるが、レオニス達にはまるで気付いていない。やがて三人はレグルスのすぐ近くまで来ると、干してあるサポーターに手を伸ばしつつも、目の前で無防備な姿をさらしているレグルスに目を奪われる。 「よしっ、捕らえるぞっ!」  トゥバーンがまた杖を突き立てる。宝珠が輝き、地面に大きな魔法円が展開される。レグルスと三人組、そしてレオニス達を含む範囲を結界に閉じこめる。そこで初めて、三人組はトゥバーンの存在に気がつく。三人ともトゥバーンと同じように小さな翼を持つ龍人で、トゥバーンとは違って身につけているのは白い褌だけだ。前垂れには何か文字のようなものが書かれているが、レオニスには読めない。 「うむあっ、トゥバーン様っ! どうしてここにっ!」  三人のうちの一人、赤みがかった肌で枝のような一対の角を持つ筋肉質の龍人、ミンタカが驚いて声を上げる。 「まずいぞ兄貴っ。あのしつこい色男もいるっ」  三人のうちの一人、緑色っぽい肌で太く長い一本角を持つ背の高い龍人、アルニラムはアルマクがいることに気付いたらしい。 「どうするっすか、兄貴! まずいことが色々ばれるっす!」  三人のうちの一人、黄色っぽい肌で短めの一対の角を持つやや太めの体型の龍人、アルニタクはうかつなことを口にする。 「む、お前達っ、何か私に言えないことを隠しているなっ! ここはひとつ、きつめのオシオキを……」  トゥバーンが手をかざし、何かの魔術を使おうとしたところで、アルマクが前に出てそれを遮る。 「ここは私に任せて下さい。いくら上下関係があっても、上司が部下を痛めつけるなどというのはあまり良くないでしょう」 「む、そうだな。では私は結界の維持に徹することにする。さあ、思う存分戦えっ!」 「はい。ではトゥバーン、レオニス、少し離れていて下さい」 「うむ。ではレオニスよ、私の後ろへ。お前の身ぐらいは守ってやろう」  トゥバーンは目の前に魔術による障壁を展開して、レオニスをその後ろへと誘導する。 「ありがとう、トゥバーン」 「礼には及ばぬ。自分の身を守るついでだからな。さあ、一緒に獣戦士の戦いを見るのだっ」 「うんっ」  レオニス達がそうしている間に、アルマクと三人組は既に戦う準備を整えていて、レオニスが視線を向けると三人組が一斉に襲いかかるところだった。  三人はそれぞれ違う方向から襲いかかる。正面よりやや右側から、高く跳んで飛び蹴りを放つミンタカ。真横に近い左側から、姿勢を低くして脚を払いに来るアルニラム、そして右後方から突進してくるアルニタク。アルマクはそれらを、まず一番早く近付いてきたアルニラムに膝を叩き込み、素早い動きで後ろのアルニタクにも蹴りを叩き込む。空中のミンタカは、宙返りをしながら蹴り上げて叩き落とした。 「なかなかの動きだなっ。私の見立て通り、とても良い脚だっ」  そんなトゥバーンの言葉に、レオニスは先程のトゥバーンの要求を思い出す。レオニスもアルマクの太腿には興味があったが、レオニスは挟まれるより膝枕がいいと思っていた。 「ぬうっ、まだまだっ!」  三人はすぐに立ち上がり、再び様々な方向から、時には同時に、時には時間差をつけてアルマクに襲いかかる。やられる度に三人の褌は色が薄くなり、透明に近付いていく……が、レグルスと戦ったときよりしぶといようだとレオニスは思った。 「ねえ、あの三人、前よりしぶとくなった?」 「三人の能力自体はさほど変わっていないと思うが、私の技術が向上してしまったのでな。あの褌の防御能力がより長持ちするようになったのだ。アルマクの蹴りは充分な威力がありそうだが、あれだけで倒しきるのは時間がかかるだろう」 「ええ……アルマク、大丈夫かな……」 「問題ないだろう。私の見立てが正しければ、彼は格闘主体の敏捷型などではなく……」  レオニスがトゥバーンとそんな話をしている間に、アルマクが動く。タテガミに挿していたバラの花を手に持つと、それが輝き始めた。それはトゥバーンの杖の輝きによく似ていて…… 「魔術士かっ。しかしやられる前にやってしまえばいいのだっ!」  三人が三方向から同時に襲いかかる。それに対して、アルマクは花を軽く振っただけだった。その直後、地面から巨大な何かが伸びてアルマクを守る。よく見るとそれは、巨大な三枚の葉っぱだった。観葉植物を巨大化したようなその葉は、三人組の攻撃を受け止めると今度は自分から動いて叩き返した。 「やはり魔力型か。あれは化身召喚と呼ばれるタイプの召喚術だな。恐らくは元になる植物がどこかにあって、それを元にした分身のようなものを一時的に目の前に出現させているのだろう。あれは結構な技術と魔力が必要になる。なかなかの腕だな」 「へええ。アルマクって凄いんだね。まあ、レグルスと引き分けてサポーター交換したなら、強いのは当然かー」  戦いを見ながら、トゥバーンが説明してくれるのをレオニスは興味深く聞く。トゥバーンは獣戦士にとても詳しいのだった。 「むううっ! だが、まだまだっ!」  葉っぱに弾き飛ばされても、ミンタカはすぐに立ち上がって再び向かっていく。三枚で連続して襲いかかる葉っぱの攻撃を二枚目まではかわせたが、三枚目に叩かれてまた弾き飛ばされる。そして、飛ばされたミンタカへと何かが伸びていく。それは植物のつるで、ミンタカを空中に縛り付ける。 「ぐううっ、まだ、まだっ……」  ミンタカはしつこく暴れるが、つるの拘束は解けることがない。アルマクが更にバラを軽く振ると、地面からタケノコが伸びてミンタカの尻に突き刺さる。 「はうっ……そこはっ……こらっ、ぐりぐりするなっ、入るわけがないだろうっ!」 「ぐううっ、兄貴、一人だけそんな楽しそうに……」 「ぐりぐり、されたいっす……」  起き上がったアルニラムとアルニタクがそんな声を上げる。レオニスの目からはもう戦意はないように見えた。 「楽しいわけがあるかっ。助けろっ! 植物なら刃物でも火でも……」 「へいへい。じゃあ、こんなもんで」  ミンタカを縛り付けるつるにアルニラムが近付きながら、股間に手を突っ込んで中から何かを出す。ふにゃふにゃになっていたがそれはカードのようなもので、レオニスの知る形式のものとは違うが魔術を簡単に発動させる術符の類であると推測できた。アルマクもそれに気付いたようだ。 「おっと。焼かれてしまっては困ります」  アルマクは拘束していたつるとタケノコを引っ込める。大きな葉っぱもなくなっていた。やはり火には弱いらしい。拘束が解けたミンタカの元に他の二人が駆け寄る。 「ふっふっふ。拘束を解いてしまったな。我々にはまだ、奥の手があるのだっ! 行くぞっ、さあ、アルニラム!」 「はいよっ」  ミンタカの呼びかけにアルニラムが返事をして、両手を前にかざすと、空中にスクリーンが展開する。そこにはアルマクの股間を中心として後継が映し出されている。そして、ミンタカがそのスクリーンに手を突っ込むと、離れた位置にあるはずの、アルマクの穿いているサポーターがずり下ろされ……なかった。 「むううっ、なんとっ! まさか、サポーターをベルトに固定しているとはっ……これではそのいやらしいパンツを下ろせないではないかっ。ずるいぞっ!」  アルマクのサポーターは細い紐で腰のベルトへにくくりつけられていた。目の前で手を伸ばして紐を解くことは簡単だが、ミンタカの念動能力はパンツそのものにしか力を発揮できない。ちょっと引っ張るだけで解けてしまうその紐に、全く手が出せないのだった。レオニスの思いつきによる対策だった。 「そっちのその力はもう分かってたからね。それさえ防げれば勝てると思って」 「完敗だ……この目の前のお宝は諦めて、大人しく帰ることにしよう……あいたっ」  ミンタカは負けを認めて、アルマクやレグルスに背を向けて立ち去ろうとするが、トゥバーンの結界はまだ解けていない。鼻をぶつけてうずくまって痛がる。 「駄目ですよ、まだ帰っては。私のサポーターを返して下さい」 「うぬぬ……折角手に入れたあれを返すなんて……そんな勿体ないことができるかっ!」 「では仕方ありませんね。少し苦しんでもらいましょう。皆さん、少し下がって。レグルスも起きて下さい」  まだ寝ていたレグルスを起こし、レオニス、トゥバーンと共に自分の後ろに下がらせる。トゥバーンは寝起きのレグルスが隣にいることでどうしても気が散ってしまうようだ。 「うむむ、レグルスたんめ、あのような朝勃ちを見せつけられてはそちらに目が行ってしまう……」 「レグルスの朝勃ちはねえ、すごい硬いんだよ。触るなら今のうちだよ」 「ほ、ほうっ。それでは少しだけ……おお、これはっ、確かに、あの時よりも気持ち硬いような気がするぞっ」  レオニスにそそのかされて、トゥバーンはレグルスの目の前にしゃがみ込み、サポーター越しの股間に触れる。レグルスはそんなことをされても特に抵抗もしないので、あくびをしながらトゥバーンがしたいようにさせている。 「ふわああ……お、トゥバーン。もう始まるぞ。アルマクの拷問技が。なかなか見る機会はないだろうから、しっかり見るといい」  やがてそれが始まる頃になると、レグルスはトゥバーンをしゃがみ込んだ姿勢のまま無理矢理前に向けた。 「ぬおお、硬いものが後頭部にっ! なんという特等席っ!」  そんな声を聞きながら、レオニスはアルマクが何をするのかしっかりと見る。アルマクはバラの花を頭に当てたまましばらく集中していたが、やがてそれを空中に投げた。するとバラの花びらが輝きながら動き回り、三人の周りを囲んだ。そして、アルマクが指をぴしっと鳴らすと、三人の足元からそれぞれ茎が伸びて、先端にカップ状の大きな花が咲いた。三人の身体は丁度首までを花に包み込まれた状態で身動きが取れなくなる。 「ぬうう、なんだこれはっ!」 「俺達もかっ!」 「連帯責任っすか!?」  三人はしばらくもがいていたが、それぞれの力ではどうにもならないことに気付き、大人しくなる。だが……急にまた暴れ出す。 「こらっ、褌を取るなっ!」 「うひい、器用な花だなっ……」 「うう、なんか恥ずかしいっす……」  三輪の花がしばらく咀嚼するかのように動くと、三人が締めていた褌をぺっと吐き出した。 「貴様っ、我々に何をする気だっ!」 「私が手を出すのはここまでですよ。あとは……花が勝手にやってくれますから」 「何を……ふはあっ、なんだこれはっ! あっ、はあっ、くすぐったいっ! ああ、そんなところはっ、んんんっ!」  ミンタカが急に悶え始める。中で何がどうなっているのか、最初はくすぐったがっていたが、その声が段々感じているような声になっていく。他の二人も似たような反応をしている。 「私の召喚した植物は、捕らえた相手からエネルギーを奪うことを覚えてしまいましてね。相手を捕らえてはエネルギーを搾り取りたがるんですよ」 「そんなっ……では我々は、生命力を絞り尽くされて死んでしまうのかっ!?」 「そんなことはしません。搾り取るのは……絶頂エネルギーなどと呼ばれるものですから」 「そういえことかっ! だからあの褌は邪魔で……ああ、そんなところをっ!」  ミンタカは何やら納得した様子で身をよじる。レオニスは以前三人と会ったときのことを思い出すと、戦いの後に尻に器具を挿入して快感を得ることで、防御能力を持つ褌の力を回復させていたことを思い出す。つまり、その時に利用していたのが絶頂エネルギー、ということだろう。 「うう、兄貴っ、これは、まずいぞ、本当にっ……」 「ああ、すごい、これ、気持ちいいっす。ああ、でも、これじゃ、イけないっす……」  アルニラムとアルニタクも花によって悶えさせられている。だがまだ刺激が足りないのか、達するまでには至らないようだ。だが、それはまだ準備段階だったようだ。 「ぬおお、ぬるりとした何かがっ。ああ、そんな、入ってくるなっ。これは、まさか雄しべかっ! ああ、入ってしまう、ああああっ!」  ミンタカが急に大きな声を上げる。続いて他の二人も似たような反応を見せる。 「やめろっ、おああっ、入ってきてるっ、あああ……」 「んああっ、それ、やばいっす、ああ、雄しべ、気持ちいいっす……」  三人の言葉から、花の中で何が起こっているのか何となくは想像できるが、レオニスは一応聞いてみた。 「ねえ、アルマク。あの花の中ってどうなってるの?」 「元々の構造自体は普通の花と同じです。しかし、この召喚された花は自分で動くことができますから。こんな感じです」  アルマクが指を鳴らすと、花の一部が半透明になって、レオニス達から中が見えるようなった。花は粘液のようなものを分泌して潤滑剤にし、長く伸びた雄しべの先をミンタカ達の尻穴へと潜り込ませていた。同時に、花びらの内側に生えた毛のようなものが身体をまさぐっている。その身体中への同時責めが三人をどんどん追い詰めているようだ。 「ああ、駄目だっ。漏れる、ああ、雄しべに犯されて、あああっ!」  ミンタカが声を上げ、チンポから大量のザーメンを噴き上げる。吐き出されたザーメンは半透明の花びらにぶつかって花の下の方へと流れていく。それで花を調子づけたのか、雄しべは代わる代わるミンタカの尻を犯す。時々二本、三本まとめて入ったりしている。 「俺も、ああ、出るっ、うう、うぐうううっ!」 「あああ、やばいっす、ああ、うああああっ!」  アルニラムとアルニタクもそれぞれ尻を犯されて声を上げ、身をよじってザーメンを噴き上げる。三人とも雄しべに代わる代わる犯されて、受粉でもさせられているようだった。  しばらくそれが続けられた後、雄しべの動きが大人しくなってくる。どうやら全ての雄しべが一度は尻を犯したようだ。三人は何度も声を上げ、ザーメンやらそれ以外の液体やらを漏らしていたが、それももうほとんど出なくなっていた。 「はあ、ああ、やっと、終わりか……」 「まだですよ。最後に仕上げがあります」 「まだかっ……ああ、まさか、これは、ああ、雌しべかっ。そんなのが、入るわけがっ、ああ、あああああっ!」  雄しべよりも太くしっかりした雌しべがミンタカの尻を貫こうとしていた。雄しべによってすっかり広げられたそこが、あの太い雌しべを呑み込んでいく。奥まで入ると、それだけでミンタカは声を上げて身体を何度も震わせる。今度はザーメンも何も出ていないが、快感はとても強そうだった。 「うひい、ああ、ひい、いぎいいいいっ!」 「ああ、それ、やばいっす、ああ、届いてるっ、ああああっ!」  アルニラムとアルニタクも同じように雌しべに貫かれて声を上げている。反応を見る限りは気持ち良さそうだが、レオニスはこれだけの責めに耐えられる自信がなかったので、やられたいとまではならなかった。 「何度か繰り返すうちに、花も色々考えるようでしてね。今ではああして、自家受粉に利用するまでになりました。これをやると実の出来がとてもいいんですよ」  アルマクがそんな説明をしてくれた。それから、大人しく見ていたレグルスがぽつりと言った。 「俺もこれを一度やられたことがあるが、なかなか気持ちいいぞ。体力をかなり消耗するが」 「ふはあっ。なんと、レグルスたんまであれを……おお、想像してしまう……」  トゥバーンは興奮した様子でそんなことを言う。口には出さないまでも、レオニスもその光景を想像をしてしまい、ますます興奮してしまった。 「レグルス、半分は君のせいですからね。私の植物があんなことを覚えてしまったのは」 「すまない。植物がそんな形でエネルギー補給ができるとは思っていなかったんだ」 「まあ、そのおかげで私の植物はとても育ちが良いのですが。良すぎて困ってるぐらいですけどね」  二人がそんな会話をしている間も、ミンタカ達は雌しべに犯されていた。やがて、犯されていても反応が鈍くなってきたところで、花びらが開いて三人を吐き出すと、花は地面に吸い込まれるように小さくなっていき、消えてしまった。後はぐったりした三人とはぎ取られた褌だけが残される。 「うう、とんでもない花だ……」 「きつかった……」 「ああ、でも気持ち良かったっす……」 「うむっ。続けては無理だが、時々やられたくなる快感だったっ」 「まあ、時々なら……」 「続けてやられたら死んじゃうっす」  レグルスが言うには拷問技のはずだったが、結局三人は楽しんでもいたようだ。これでは拷問にはならない。 「あなたが達はそちらのタイプでしたか。では……サポーターを返さないと、あれを二度とあなたたちにはしてあげませんよ。きちんと返していただければ、そのうちまた同じようにしてあげましょう。なんと、違う種類の花もあるんですよ」 「ぬうう、そんな条件を出されてはっ……仕方ない、奪ったあれは返そうっ……だがしかし、今は身体に力が入らないのだっ。しばらく休ませてくれっ……これではシップに取りに帰ることもできない……」  アルマクの出した条件にあっさり陥落するミンタカ。他の二人からも反対意見はないようだ。だが搾り取られすぎて、立ち上がることもままならないようだ。 「仕方ないっ。では私が取りに行こう。ラックシップのお前達の部屋にあるのだろう。アスピディスケ、来いっ!」  トゥバーンがどこかへ呼びかけるといつも乗っている飛龍がやってきて、トゥバーンを載せて飛び去っていく。  待っていれば戻ってくると思い、レオニスはシートを広げてレグルスとアルマクにお茶と軽食を出す。アルマクはレオニスの作った焼き菓子を気に入ってくれたようだ。レオニスはぐったりしたミンタカ達にも菓子と茶を出してやった。三人はどうにか起き上がると、それらを口にして少しは元気が出たようだ。  やがて、トゥバーンが戻ってくる。その手に持っていたのは…… 「匂いで分かったぞっ。これだなっ!」  それは緑色の細長い布だった。アルマクはそれを笑顔で受け取る。 「ありがとうございます。では……」  アルマクは身につけていた赤いビキニ型のサポーターを脱ぐと、緑色の布を器用に巻き付けた。褌の一種だ。シリウスも似たようなものを身につけているのを、レオニスも見た覚えがある。 「うむっ。良いお着替えタイムだった。やはり獣戦士の脱ぎっぷりは素晴らしい……」 「何度見てもいいよね……」  トゥバーンとレオニスは二人で感想を言い合う。レオニスにとってトゥバーンは、かつては林檎の森にとっての敵だったが、今は敵対する理由もないのでただの趣味の合う友人だった。 「確かにこれは私のものですね。ありがとうございます、トゥバーン。何かお礼ができればいいのですが、あいにく差し上げられるようなめぼしいものは持っていないのです。何か手伝えることでもあれば……」 「いや、礼などそんなっ。今回はそもそも部下のしでかしたことであるし、私個人としてはとても良いものを見せてもらったし、既に雄の匂いも結晶化して貰っているのだが……」  トゥバーンがサポーターから雄の匂いを抽出して結晶化していたのをレオニスは見たことがある。トゥバーンはそれを元にインスタント戦士を作り出すことを得意としているのだ。 「そうでしたか……しかしそれではお礼をしたという実感がまるでない。ではこうしましょう。もし私の力が役に立ちそうなことがあったら、無償で召喚に応じます。戦闘でも農業でも何でもお手伝いしますよ。ああ、今すぐというわけにはいきませんが。レオニス達にもお礼をしなければなりませんから」 「おおおっ、それはとても嬉しいっ。いざというときに獣戦士の助けが借りられるというのは、とても安心感があるっ」 「そこまで言われると恐縮してしまいます。私などではできることなど限られていますから……」 「いやいや、そんなことはないぞっ。とりあえず、私は一旦、この三人を連れて帰るから、簡易契約などはその後に……」  トゥバーンがハンカチのようなものを投げると、それは大きく広がってミンタカ達三人を包み込む。トゥバーンが飛龍に乗ると、三人がまとめられた包みは飛龍の脚に掴まれて運ばれていった。 「じゃあ……とりあえず、祖父ちゃんのところに行こうか。新しい獣戦士が来たらなるべく連れてくるように言われてるから」 「お祖父さんですか。どういった方です?」 「えーと……一応、すごい魔導技術者、になるのかな。あと、ここのブックではそれなりの立場らしいけど、そっちのことはあんまり詳しくなくて……」 「俺もヒーローとしての戦いの助けになるものを色々用意してもらっている。素晴らしい技術者だと思う」 「興味深いです。私も一応、魔術士の端くれでもありますから」  三人でレオニスの祖父であるアクワイリ博士のガレージへと向かった。  アルマクはアクワイリと色々話をしてから、何やら特別な苗木を託されていた。アルマクが持つという農園で育てるという。時々その様子を報告しにまたここに来ることになったらしい。  レグルスとアルマクは徒手格闘のみで軽い手合わせをした後、二人はレグルスの寝床の近くにいた。 「ああ、レグルス、君の一物が入ってきています。ああ、とても気持ちが良い……」 「そうかっ。お前の尻もとても具合がいいぞっ」  立ち木に手を突いたアルマクの尻に、レグルスが後ろから覆い被さるような体勢でチンポを突き挿れている。アルマクも魔力型とはいえ獣戦士なので身体は丈夫で、体力もある。レグルスの激しい突き込みを問題なく受け入れている。  レグルスが突き込むと、奥を突かれたアルマクは身体を仰け反らせて声を上げる。するとアルマクの尻までもが反応するのか、レグルスも快感に顔を歪ませる。それでもレグルスは快感に耐えて何度もチンポを抜き差しする。しかし…… 「ふううっ、すまない、そろそろ限界だっ。おおおおっ……」  レグルスに限界が訪れ、奥深くまで突き挿れた状態で動きを止める。そして、触れていないアルマクの一物からも白濁した汁が漏れていた。呼吸を整えてからレグルスがチンポを引き抜くと、アルマクが身体をびくんと震わせる。 「はあ、はあ……では、交替ですね」 「ああ。こちらも準備万端だ。すぐに突っ込んでくれて構わないぞ」  今度はレグルスが立ち木に手を突いて尻を突き出す。そこにアルマクがチンポを突き立てる。レグルスの尻は、自分のより少し大きなチンポを呑み込んでいく。レグルスは苦痛なのか快感なのか、顔を歪めて耐えている。 「大丈夫ですか?」 「問題ないっ……耐久型の獣戦士ほどではないが、打たれ強さにはそれなりに自信がある。好きなように突き挿れてくれて構わないぞっ」 「ですよね。では、いきますっ」  アルマクが抜き差しを開始する。最初はゆっくり、抜ける直前まで引き抜いてからまた根本まで突き挿れる、という動きを繰り返す。穴が馴染んでくると、その動きに変化を加えていく。ひねりを加えたり、すくい上げるように突き挿れたり。時には奥をごりごりとえぐり、レグルスに声を上げさせる。 「うおああ、そこは、ああ、気持ちがいいっ。お前の一物は、奥まで届くっ……」 「そう、ですかっ。ふうう、君の、穴もっ……やはり、たまらなく気持ちが良いっ……」 「おああっ、駄目だっ、漏れるっ、ああ、あああっ!」  尻を貫かれているレグルスは木にしがみつき、チンポから白濁した汁を大量に漏らす。アルマクはそれを見ている余裕もなく、自信にも限界が訪れていた。 「ああ、私も、もうっ……ああ、出ますっ。ああああっ!」  アルマクは最後に奥深くまで突き挿れた状態で動きを止める。呼吸を整えたアルマクがチンポを引き抜いても、奥深くに注ぎ込まれたザーメンはそう簡単に垂れてこない。 「ああ、とても気持ちが良かったです。レグルス、お互い強くなるためにも、またこうして身体を重ねましょう」 「ああ。そうだな。次に会ったときはまた、こうしてお互いの尻に注ぎ込もう」  後始末をする前に二人は軽く抱擁し、そんな言葉を交わす。そして、それを物陰から見ているレオニスとトゥバーンも、言葉を交わす。 「ね、言ったでしょ。このパターンだとレグルスとセックスするって」 「とても良いものを見せてもらったっ。やはり持つべきものは趣味の合う友だっ」 「じゃあ、また機会があったら一緒に見ようね」 「うむ。では私はこれでっ。この火照った身体を肉付きの良い現地住民に静めてもらわねば……」  トゥバーンがこっそりと立ち去っていく。後に残されたレオニスは、偶然を装ってレグルスに近付いて挨拶をした。 「あ、レグルス、ここにいたんだね。アルマクも」 「おお、レオニス。たった今獣戦士同士で精液を送り込み合うのが終わったところだ」 「そうなんだ。二人ともまだ勃ってるね。アルマクの、大きい……」  レオニスはどうしても目の前のそれらに目が行ってしまう。アルマクのチンポはレグルスのものより少し大きい。特に長さがあるような気がする。レオニスの尻ではま受け入れられそうにない。 「はは。これはお前にはまだ早いかな。今はまだ俺で我慢してくれ」 「我慢とかじゃないよ。レグルスのが好きだから……」 「ふふ。仲が良いですね」  二人のやりとりを見て、アルマクが優しげに笑う。 「あ、アルマクのにもすごく興味はあるよ。だから、いつか受け入れられそうになったら……」 「はい。ではいつか」 「そうだ。そろそろ夕飯の時間だから、レグルスを呼びに来たんだよ。アルマクも食べていくよね?」 「私もよろしいのですか?」 「ここの住人は、みんな獣戦士と仲良くしたいんだよ。だから大歓迎だよ」 「そうなんですね。ではお言葉に甘えましょうか」  レオニスは獣戦士二人を連れて自宅へと帰っていく。そして、夜は予定通りレグルスと一緒に寝ることができたので、レオニスにとってとても良い一日だった。